待つことが大事なのは ”勉強” も同じです。
子どもにとっては初めて学ぶことばかりの ”勉強” は、大人が思うペースで身につけられるものではありません。
もともと迷走する教育行政に振り回されるようなカリキュラムに合わせた ”勉強” を強いられる子どもたち、自分のペースで学べる子の方が少ないでしょう。
さらに、教育現場には ”は(やく)・か(んたんに)・せ(いかくに)” を良しとする風潮がありますから、理解を置き去りに手順や公式を叩き込んでとにかく ”できる” ように追いたてられてしまいます。
本来、自分のペースでゆっくり咀嚼していけばなんてことない内容でも、ペースを乱されて、自分で発見・理解していく工程を、”教え込む” ”手助けをする” ”徹底反復で出来るようにする” ことで飛ばしてしまうんですね。
自分で発見・理解することはとても大切なことなのに・・・残念に思います。
例えば ”お絵かき算数ドリル” の2年生向けのこの問題。
長男は2年生の頃に挑戦しました。
<S5級-38>★★
長さ5cmのアゲハ蝶の幼虫が、6cmの割り箸で作った橋を渡ります。幼虫は2秒で1cm進むとすると、橋を渡りきるのに何秒かかるでしょうか。
1回目は 「1cmは2秒だから6cmで12秒!」 と適当な絵を描いて簡単に間違えてしまいました。
本人はなぜ間違えたのかがわからないままおしまいです。
「問題がおかしい!」とまで言っていました(笑)
ここで ”渡りきる” だから幼虫の5cm分も進ませるんだよと言えば簡単に理解させることは出来ます。
でも教えずに自分で気がつくのを待ちました。
上の画像は数ヶ月後に再挑戦した2回目で何となく正解が出た時のものです。
渡りきった後の絵が正確に描けていないので、もやもやして腑に落ちず後日自分から3回目をやって納得していました。
自分のペースで、自分の力で理解したからこそ、記憶に深く刻まれて応用が利くのです。
1年以上経ってから下のような類題をやった時に、幼虫が橋を渡る問題と同じだとすぐに思いだし難なく解きましたから。
<S3級-36>★★★★
全長2m50cmの大トカゲのリザード君がいとしい白トカゲのレイちゃんに会いに行きます。でもそのためには長さ6mも続くバラのとげとげトンネルを通らなければなりません。チクチクするから本当は嫌なのですが我慢(がまん)してくぐり抜けました。痛いので1分間に50cmしか進むことが出来なかったとすると何分何秒でくぐり抜けることが出来たでしょうか。
自分で発見し、理解するまで待つことはそれなりに大変です。
でもそこを我慢して待てば、子どもたちは本物の力を身につけていくのですから、子どもの力を信じて待ちましょう。