小学2年生の算数といえば、”掛け算九九” ですね。
2学期の終わり~3学期にかけて学校でも家庭でも一大イベントで盛り上がります。
中には校長先生の前で最終確認の暗唱をして合格証をもらうなんて学校もあります。
先生方の 「九九を覚えないと小学3年生になれませんよ」 という言葉に、必死になって暗唱して覚える子どもたちの姿は、もう日本の風物詩のような感じです(笑)
そんな ”掛け算九九” 、最近は
”のぼり” 1×1=1、1×2=2、… のように下から。
”くだり” 9×9=81、9×8=72、…のように上から。
”バラバラ(ランダム)” …順番は関係なくバラバラに。
この3種類でそれぞれ合格を目指して取り組むというのが主流のようです。
私が子どもの頃は ”しちさん(7×3)” だったら ”さんしち(3×7)” と頭の中で逆にしていました。
そのほうが覚える九九が少なくて済むので楽なのですが、最近はなぜか頭の中で逆にする時間もないくらい反射的に答えさせることを目指しています。
そしてその一大イベントで、折角 ”九九” を覚えたのに ”掛け算” を忘れてしまう子どもたちが出てきます。
これまで、ひたすら九九の暗唱をして合格した子たちにこんな質問をしてきました。
「8×12はいくつ? この紙を自由に使っていいからね。」
先取計算をしてきていない子どもたちですから、筆算のやり方はまだ知りません。
普段の学習のように絵を描けばいいんだと気がついた子は、8を12個書いて足し算をしたり、8を表す絵を12個描いて数えて答えを出します。
しかし、九九の暗唱で直前の単元で習った ”掛け算” の意味が抜けてしまった子は、
「8×12はまだ習ってない」 「わかんない」 と言いだします。
掛け算の単元で、
○○○○○ ○○○
○○○○○ ○○○
○○○○○ ○○○
○○○○○ ○○○
8が4つだと足し算を使って 8+8+8+8=32 としていましたが、
これを 掛け算を使うと 8×4=32 と表すことができます。
と教わったはずなのに、九九の暗唱という掛け算の概念を感じさせない ”ことば” を唱え過ぎたせいで、掛け算の概念がまだ身につけていない子は ”掛け算の意味” を忘れてしまうのです。
我が家では長男、次男とも九九を覚える時期に、家で暗唱を一切させませんでした。
学校では練習をさせられていましたが、
「全部覚えられなくてもいいから、覚えなくてもゆっくり導き出せればいいよ」
と言い続けました。
その結果
長男は九九の暗唱で ”のぼり” しか合格できず、しかもクラスでビリでした。
言えずに固まっていたら先生が教えてくれたというので、おまけ合格です。
ゆっくりでもつかえずに九九を言えたのは小5の時でしたので(笑)
では、どうやって切り抜けてきたかというと、
8×6=は、8×5=40、40+8=48
8×4=は、8×2=16 16+16=32
というようわかる九九を使って工夫してやっていました。
多少誘導はしましたが、小2から分配法則を駆使して切り抜けてきたのです。
この工夫は数や計算の概念の理解に大いに役立ちました。
次男は残念ながら学校の暗唱練習だけで全部合格してしまいました。
それでも普段から計算問題は家ではしないので、忘れた九九は同じように工夫して計算しているようです。
九九は便利な道具です。
あったら便利な道具です。
でもなくても大丈夫なのです。
覚えていなくても、忘れてしまっても、九九はただの掛け算だから、導き出せるということを覚えておいてほしいのです。
2年生の頃、あれだけ頑張って覚えた九九をすっかり忘れてしまい、
固まってしまっている3~4年生に
「九九も覚えていないんですか!」と叱られている5~6年生に
「小学校で何をしてきたんだ…」と見放されている中学生に
伝えてあげてください。
「九九を覚えていなくても大丈夫。ゆっくり導き出せばいいんだよ。」と。
2年生の担任の先生にお願いします。
「九九を忘れた時に、自分で導き出せるように育ててください。」
息子たちには地頭を鍛える良い機会だからと九九を完璧には覚えないように誘導しましたが、先生に家庭教育の方針を伝えていたからできたことですので、あまりお勧めいたしません。
ですから最高の覚え方をご紹介します。
九九の数字の組み合わせを ”視覚” で覚えてしまうのです。
この3つの数字の組み合わせはいろんな形で出てきます。
6×8=48 8×6=48
48÷6=8 48÷8=6
48/6=8 48/8=6
1の段は不要で、6×8も8×6も同じですから組み合わせは36個です。
たった36個の組み合わせを覚えて、ゆっくり思い出しながら言えるようにすればいいのですから、幼稚園のうちから頑張って暗唱させるような必要はありません。