世界一素敵な学校―サドベリー・バレー物語
ダニエル グリーンバーグ (著)
カリキュラムも、点数も、卒業証書もない世界一自由な学校と言われるアメリカのサドベリー・バレー校の物語です。
教育にかかわる人は、誰もが読んでおくといいと思います。
もちろん我が子の教育の責任者である親もです。
導入部分だけでもなかなか読みごたえがあります。
以下、ポイントを軽くまとめてみます。
産業革命によって特権層のみが持つことが出来た物品を万人のため、機械が作り始めた。
産業革命期の機械は原始的なものだったので、沢山の「人」が組み込まれ、そこに張り付いていなければならなかった。
しかし、機械の一部として働きたいと思う人は、ほんとうのところ、誰もいなかった。
誰もが皆、花開く産業経済の恩恵にあずかることが出来るよう、どうやったら数百万の人々に自ら進んで機械の一部になってもらえるのか?
「教育」が使われた。必要な技能の中心に、まったくもって不自然なものが据えられた。
”自動人間”としての機能になりきることが出来るスキルがそれだ。
土台無理な注文なのにそれをやろうとした。
そのためには二つのことをしなければならなかった。
【1つ目が 子どもたちの自由な精神を破壊すること】
一か所にじっと座っていたい、言われたとおりのことをいつもしていたい、そう思い込ませなければならない。
したいことをしてはならない、好奇心の導くままに学ぶなんて許されない、ただただ厳しい規律を受け入れていればいい。
誰もが同じことをいつも必ずしている。適応しなければ罰せられる。
【2つ目が 子どもたちに特殊なスキルを教え込むこと】
読み・書き・算数(計算)
読むことを教え込まねばならない。指示を読めるようにならなければならないから。
描くことも教え込まねばならない。文書作りが出来るようにならないといけないから。
算数も教え込まねばならない。重さとか長さに慣れさせるために。
そうすれば産業経済が求める標準的な帳簿付けが出来るようになる。
しかし、今や多くの人々は機械に組み込まれることはなく、機械に張り付いている必要もない。
近代的な工場はコンピュータ要員として人が必要なだけ。
もう”産業時代”に変わって情報時代が到来している。
いつでも、どこでも自分が望むときに学びたいことを学ぶことが出来る時代になっている。
それなのに、今日もなお私たちは子どもたちの意思をくじいている。
子どもたちをロボット化し、機械のように扱い、頼まれもしない、必要もないカリキュラムをどんどん積み上げている。
ここの生徒は、6年分の算数を24時間分の授業でマスターするという話。
20年近くこの学校では「読書障害(ディスレクシラ)」のケースが1件も出ていない話。
子育て、教育に関する常識がガラガラと崩れていくと思います。
是非とも読んでいただきたい本です。