メディアにむしばまれる子どもたち
(著)田澤 雄作
メディアが子どもたちに与える影響について、最前線で子どもたちを見続けてきた小児科医が伝える現状は、多くの親が根拠もなく安心している、
「ゲームは1日1時間だから大丈夫」
「部活も塾もちゃんと行っているから大丈夫」
「学校の成績は良いから大丈夫」
という内容を打ち砕き不安をかきたてるものかもしれませんが、臨床の現場から訴える具体的な事例や根拠を無視するわけにはいきません。
多くの親は、テレビゲームで前頭葉の働きが鈍るという事は知っていても、「5分ならすぐに回復するのに15分だと回復しない」などということは知らないでしょう。
理性や笑顔が前頭葉の機能低下で子どもたちから失われていることも。
テレビ、ゲーム機、インターネット、スマホ等の情報メディアが親子の良質なコミュニケーションの時間を奪っただけでなく、「行き過ぎた進学競争教育」、「スポーツ等の厳しすぎる部活動やお稽古ごと」についても鋭い視点で切り込んでいます。
著者はこう言っています。
”慢性疲労」は脳(心)の疲労だと考えられています。前頭葉は笑顔、言葉、感性を司どるとともに、記憶力、集中力、判断力、気力、抑制力、社会力、そして自尊心、メタ認知力を担う、人間にとって重要な脳ですが、この脳の疲労である「慢性疲労」を抱えた子どもは少なくありません。”
睡眠時間が11時間ある子の事例が紹介されていた通り、たっぷり寝ていても、”勉強” ”スポーツ” ”習い事” ”テレビゲーム” などで大忙しの生活だと、体に異変が生じるのです。
これが、睡眠不足の子どもたちならなおさらです。
お子さんにゲーム機を持たせている、1日1時間以上デジタルメディアに触れさせているという方は、是非この本を読んで欲しいと思います。
勉強に困る、目が悪くなる程度の悪影響ではなく、子どもの一生を左右する「脳(心)」の発達に関する問題です。
是非、早めに取り寄せて熟読されることをお勧めします。