お母さんはしつけをしないで
長谷川 博一(著)
イジメや不登校、少年犯罪等、”しつけの後遺症” が子どもを苦しめている。
”子どものため” と頑張る教育熱心なお母さんほど子どもを追い詰めてしまい、子どもは深刻な後遺症に苦しむケースが多い。
しつけようとしなければ親子が楽になると説く著者の言葉は、決して頑張っているお母さんを批判するものではありません。
次の五項目を強く信じ込んでいて、これらの考えを手放すことを絶対に認めたくない人は、この本を読んではいけないそうです。
1 子どもの将来のために、小さいうちから勉強させるべきだ。
2 子どもは努力と忍耐を学び、人に迷惑を掛けないようにしないといけない。
3 子どもは常に親や先生など目上の人を敬い、言われたことには従うべきだ。
4 人間は泣いたり怒ったりと、むやみに感情を出すべきでない。
5 親が子どもの言い分に耳を貸すのは、単なる甘やかしに過ぎない。
この本の中に書かれている、今の子どもたちを救う「魔法の杖」になるアドバイスは、
幼児~小学生の間は ”勉強をあきらめてください” です。
私も多くのお母さんたちにそうしてほしいと思っています。
なぜそう思うのかわからないという方は、子育てコラムの他のページを読んでみてください。
さて、”勉強” と ”子育て” を考えた時に、どちらを重要視するかというのはナンセンスですね。
勉強は子育てのほんの一部でしかありません。
子育てでは、
子どもの心を育てることが大事です。
自分で考えられるように育てることが大事です。
言われなくても自分から学ぶように育てることが大事です。
しかし、”勉強” が絡むと、子どもの心を潰すような言動をとる方が少なくありません。
点数が悪いと叱り、ダラダラ宿題をやっていると怒鳴り、説明してもわからないと怒る。
考える余地のない ”暗記” や ”単純な作業である計算問題” ばかりやらせます。
アメとムチで、”勉強” を強制し、学ぶことを嫌いにしてしまいます。
本末転倒です。
しかし ”勉強” というのは世のお母さんたちを狂わせる魔力を持っているのです。
これまで多くの親子に出会って来て、私が特に怖いなぁと思うのが、”勉強が好き” ”良い子” ”しっかりしている” ”優等生” とお母さんが思っている子です。
お母さんがいる時といない時の言動の違いに驚かされました。
教室以外でも子どもたちと触れ合う機会が多いので、厳しく躾けられている勉強のできる優等生が、鬱積した想いを周りにまき散らしているのを本当によく見かけます。
そうそう、私もお母さんたちに ”今は勉強は捨ててください” とアドバイスすることがありますが、子どもの生活環境を改善して子どものストレスを軽減すれば、さらに ”地頭を鍛える学習” を数年続けて賢くなれば、捨てた数年分など簡単に取り戻せることがわかっているからそう言うのです。
学校の勉強は学校の授業だけ、家では週に1~2問のお絵かき算数ドリルだけ、あとは毎日自由に遊んでいるだけ、それでも学校の勉強は困らないものですよ。